Arquemista 2(アルケミスト2)


しかし、そのラクダ使いはあまり戦争を心配していないようだった。
「私は生きています」と彼はある夜、ひとふさのなつめやしを食べながら少年にっ言った。その夜は火もなければ、月の明かりもなかった。「私は食べている時は、食べることしか考えません。もし私が行進していたら、行進することだけに集中します。もし私が戦わなければならなかったら、その日に死んでもかまいません。なぜなら、私は過去にも未来にも生きていないからです。私は今だけにしか興味を持っていません。もし常に今に心を集中していれば、幸せになれます。砂漠には人生があり、空には星があり、部族の男たちは人間だから戦う、ということがわかるでしょ。人生は私たちにとってパーティであり、お祭りでもあります。なぜなら、人生は、今私たちが生きているこの瞬間だからです」

「アルケミスト」〜パウロ・コエーリョ・山川紘矢+山川亜希子訳〜

この間久しぶりに友人と食事をした。久しぶりということで話に花が咲きまくってしまった。そのなかで、彼女は今、numerologyといって、数霊術、平たく言えば数占いにはまっているといっていた。私も占いは大好きなほうだ。信じるものはなんとかというが、占いの内容がいいときは信じ、それが悪いときは「どうせ、たかが占い…」とかいいながらも気にしたりと。どの雑誌を見ても必ずといっていいほど星占いのページがある。たまに本屋で立ち読みなどをしていると必ずといっていいほど星占いのページをみてしまう。

この数占いは誕生日を足して出る数がポイントになる。それが1〜9まであり、その数をもつ人の性格などが分析されている。たとえば、私は1974年11月21日生まれなので、全部足していくと(一桁になるまで)8というのが私の数字だ。この8の持つ意味は"目標設定型"というものだった。私はいつもなにか目標がないと次の行動にでることができず、ぐずぐずと考えてばかりいるタイプだ。しかし、いったん目標が定まるとボッと火がついたようにあっという間に行動に起こすことができる。ただ目標が定まっていないときはなんだか、風鈴のように風が吹くたびにふら〜としている状態が続き、自分で自分のことが嫌になることがある。そして私は今、風鈴状態なのだ。右から風が吹いてくれば、ふら〜と左にうごいてみたり、後から風が吹いてくれば前に動いてみたりと。イギリスから帰ってきてもはや3ヶ月が過ぎようとしている。帰国したのがついこの間のようだ。イギリスから戻るときに私はすでに目標を設定して戻ってきた。はずだった…。しかし、思うようにことが運ばずボツになってしまった。

そして、その後また新たに私の行き先が決まったかのように思えたがそうではなかった。いま現在はその行き先にたどり着けるかどうかの返事を待っている段階だ。正直言って、いま私は道に迷っている状態だ。誰かがそっと手を差し伸べてくれるのを待っているような気がする。しかし、世の中それほど甘くはないのだ。私の悪い癖はいつも過去か未来に生きているということだ。つまり、パウロがいっている、今に生きていないのだ。いつも、過去のことを懐かしく思っては「あの頃に戻りたいな」と考え、目標を定めてはいつももその行き先に行った後のことだけを考え、今に生きていないのだ。そして、過去を懐かしがったり、未来を考えすぎリあまり、今の生活に満足できず、不平不満を申し「あの頃はよかった」とか「あそこにいけたら」とかいつも後ろか前のことばかり考えている。それでいて、今自分の置かれている立場が嫌だとか早くここから抜け出したいなどと考えている。

アルケミストを読むのはこれが2回目だ。たいてい私は同じ本を2度読むということはしない。しかし私はあることに気がついた。私は旅に出ると必ずそこに戻りたくなるという癖がある。それはたとえ同じ場所にいったとしてもその時の自分の状況によっていろいろなことが見えてくるからだ。だからもしかしたら、人生という長い道にまた迷っている今、もう一度何かを得られるのではとアルケミストをまた読んでみた。やはり旅行と同じだった。そう、新しい発見があったのだ。これは新しい自分の発見という言い方もできるかもしれない。なぜばらば、私はこれを最初に読んだ時の22歳の時に得たものとは違ったものを今回得たからだ。22歳のときでは気づくことのできなかったことを、今の私が、これを読み返したことによって気づくことができたのだ。人生という料理が少しだけ上手になったからかもしれない。あれから2年半私はいろいろなことを味付けを学んだ。そして、私は気づいたのだ。いつも自分の置かれている立場に不満を言う前に、今を生きなければと。過去でもなく、未来でもない今を。

今この瞬間を満足に生きなければいけないと。

私はいろいろと先のことで悩んでいた。しかし、今を見つめていなければ目の前に開かれている人生のドアが開いているのを見過ごしたり、自分が開けようとしているドアがもう閉まっていたりするのが見えないだろうということに気づいた。いや、アルケミストが気づかせてくれたのだ。過去や未来ばかりを見ていたら、目の前のドアが閉じていたり、開いていたりするのが見えなくなってしまうということを。そして、私は今を大切にしていなかったがために本当に開こうとしているドアが見えなくなってしまっていたのだった。それに気づいたとき、ぐずぐずと悩んでいた自分が消えた。もちろん悩むことは大切だ。なぜならば、そこから何かを得ることができる人もいるからだ。しかし、私はどうやらそのようなタイプではなかった。悩めば悩むほど、どつぼにはまり、前が見えなくなり、全てのドアが開かれているようにも、閉ざされているようにも見えてきて、パニック状態になってしまうタイプだったのだ。

しかし、「今を生きるのだ」ということに気づいた瞬間、私の心は軽くなった。いままで悩んでいた自分がうそのようだ。そして、私の心が私に夢を追いつづけろといっているのが今も聞こえる。その声が聞こえている間は、辛いこと苦しいことがたくさんあるかもしれない。しかし、私にはそれが聞こえなくなったときのことを考えるほうがより怖い。なぜならば、パウロも言っているように、"夢が実現する可能性があるからこそ人生は楽しいのだ"といっているように、夢に向かって進んでいるときは、楽しいことばかりではなく、辛いこと悲しいこともあるからこそ、そういう気持ちを経験できるからこそ楽しいのだと。辛いこと悲しいことを経験したであればよりいっそう、その楽しさは倍増するはずだ。例えば、マラソンの後に飲む1杯の水と普通のときに飲む1杯の水は、同じ水でもそのおいしさが違うだろう。

人生もそれと同じだ。辛いことや悲しいことがあった後に来る楽しさは数倍楽しいはずだ。それは、辛いことも悲しいことも知っているからこそそのように味わえるのだ。そして、1日、1日を大切に精一杯生きることによって、目の前に開かれているドアが自然と見えてくるだろう。その途中で私たちはいろいろなことを学んだり、感じたりしてすることによって、自分の本当に探しているものがなにかわかってくるのだ。過去でもなく、未来でもなく、今を生きることによって夢に向かっての人生が1日、1日と築かれていくのだと。自分が思っていたドアが開かなかったとしたら、それはそのドアの向こうには自分の探しているものがないからだ。そして、そのドアが閉まったことによって、別のドアが開いたのが見えてくるだろう。だからこそ、後でもなく先でもなく、今を生きなければいけないのだ。そのドアを見つけるには、今を生きなければならないのだ。

たまに過去を懐かしがったり、未来の楽しい話をしたりすることもあるだろう。それは過去の懐かしさもを思い出したりすることも、未来の楽しい話をしたりすることも、私たちが今生きているこの瞬間だからこそなせることだからだ。

私はまだ、どのドアが開いたのかは見えない。しかし、じきに開いているドアを見つけられるだろうと信じている。なぜならば、私は今を生きるということを知ったからだ。そして、そのことがどんなに大切かも理解したからだ。

そしてアルケミストは人生の料理をおいしくさせたりするコツを教えてくれる大切な本だということもわかった。なぜならそこにはまだまだたくさんの秘訣がのせられているからだ!!

PS: もし、numerologyに興味のある方は//www.thenewage.comのホームページを覗いてみてください!!