[ヘビのお札:]
ヘビのお札
16歳の少女に本気で惚れたことがあった。 彼女からの電話ひとつに一喜一憂する日々だった。 最後のタクシーの中で「ヘビのお札が見たい」と言う彼女に、その時分一番高 価なお札を渡した。お金を得るための彼女の幼稚なウソだとわかっていた。そ れでも渡したのは信じたかったから・・・。 ヘビのお札の代わりに残ったのはサバサバとした解放感だった。