[失せた思い:]
失せた思い
時折あいつのことが頭に浮かぶ。 不思議な吸引力でひかれた。逃れようとすればするほど、じりじりと惹かれていった。 なぜ、あの時あれほどまでにあいつに狂ったのだろう。 少しの愛もなく、単なるお金のために僕と付き合っていたあんな女に。 頭ではバカことをしている自分に気が付いているのに、感情とからだは、どんなひどい仕打ちをされようと彼女から離れることはできなかった。 そんな状態がまるで憑き物が落ちるかのように、あいつへの気持ちが消滅した。 何故あれほどまで引かれたのか未だにわからない。