[夜のトローリーバス:]

夜のトローリーバス

 深夜、トローリーバスに乗っていると、このままずっとまったく知らない土地まで連れていかれるような気分になる。降りたいのだけど降りられない、バスと一緒に闇の中に吸い込まれるよう不安な感覚。
疲れきった表情をした乗客達は、一人また一人と降りていき、降りた瞬間、生気を取り戻す。
バスが角を曲がり、いつものポント(停留所)が見えた時、寝ている彼女の顔が浮かんだ。

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